新宿H邸

Tokyo / shinjuku / 2007 - 2009

用途

個人住宅

構造

桐野建築構造設計

照明

稲葉裕(FORLIGHTS)

施行

株式会社スリーエフ

撮影

淺川敏

新宿H邸は、長年この場所に住み続けてきた家族のための住宅です。
約18坪の敷地は幅員5mほどの道に沿って住宅などが建ちならぶ地域にあり、北側上空には敷地境界をかすめて首都高速が通っています。このような条件から、外観は比較的閉じた<箱>の印象を与えるものとなっていますが、建ぺい率一杯のボリュームを部分的に凸凹させて、ベランダや植栽コーナー、駐車スペースを設けています。
<箱>の内側は、単色で塗られた外観とは一転して、各場所ごとにプロポーションや仕上材・色あいが異なり、多様なスペースの集合となっています。その中心にあるのは吹き抜けのリビングで、いくつも開けられたトップライトが四角く空を切り取り、白い壁に刻々変化する光を映しだします。
一方、リビングを囲む各室は天井高を抑えた落ち着きのある空間で、ところどころに開けられた窓は、光や風はもとより、近隣の緑や空、隣家の外壁や屋根、高架下から見える線路、首都高速を支えるコンクリートの塊や、間近に迫る防音壁など、この場所ならではの眺めを取り込んでいます。
これら各スペースを緩やかにつなげ、家の内外のさまざまな様相を重ね合わせていくことで、家族が互いの気配を自然に感じ取れるような連続感を持ちつつ、単調ではなく、ここで長年暮らしてきたクライアントにふさわしい、独特な豊かさや馴染み深さを持った生活の場をつくることを目指しました。

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